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都市と農村の架け橋をめざして、北海道十勝から

組勘を超える新しい融資の在り方を

   

 先日の新聞報道(十勝毎日新聞2016/11/12)によると、「政府の規制改革会議は、道内のJAが農家に行っている取引決済方式「組合員勘定(組勘)」を廃止するなど、農協改革の提言をまとめた」とのこと。
 一般にはなじみのない組勘制度だが、当紙面からその仕組みをわかりやすく解説していて「JAと組合員の農家の間で行われている取引決済方式。農家が作成した年間の営農計画書をJAが審査して、営農に必要な資金を貸す。農産物の販売代金が入る前に資金調達できるため、収穫期が限られる道内では農家の経営を支える仕組みとして大半のJAが取り入れ、管内ではJA士幌町を除き行っている」と。

 提言では「組勘は農業者の農産物販売先を統制し、毎年一定の期日で債務の完全返済を義務付けるため、農業者の経営発展の阻害要因になっている」と指摘。実施しているJAに、即時廃止すべきだとしている。
 まるで、農協がコングリマットのような独占企業だともいわんばかりだ。
 確かに、組勘はJAに依存して農家の経営者意識を希薄化、しいてはどんぶり勘定化させるとの指摘もある。
 しかし、十勝の畑作農業は、春先に種子、肥料、農薬など多額の投資が必要で、これを回収するには出来秋まで待たねばならない。一部市中金融機関は農地を担保とした融資に模索した経緯もあるようだが、結局は農地のそのほとんどはJAが根抵当に組み入れてしまっていて一番手にはなれなく、断念したのではないだろうか。

 アメリカでは、あらたな仕組みとしてCSA(地域支援型農業)に取り組み始めている農場もあるらしい。消費者を会員として取り込み期間毎に会費を農家に支払い、対価として農産物を安く受け取るという仕組みで、農家は資金繰りに余裕が生まれるとのことだ。
 また、最近ではクラウドファンディングによる運営資金を募集するというIT普及の恩恵活用もある。

 まさに共有経済という新しい概念が生まれつつあるようだ。

 もう20年近く前になるが、米国の出張のチャンスをもらい、アメリカ最大のスーパー「ウォルマート」と有機農産物を扱うスーパー「ホールフーズマーケット」を視察する機会を得た。
ウォルマートでは、買い物カートのその馬鹿でかさに驚嘆、レジを打っているほとんどの店員は、体格のいい高齢者ばかり。なるほどそんなところで人件費を削っているのかと妙な関心をした覚えがある。デンバー郊外にある何億円というモデルハウス群では、どの棟にも決まってワインセラー室とトレーニング室があり、アメリカ人というのは、酒を飲んで太って、増えた体重をパワートレーニングで減らすのかという妙な人種と感心した。
 ホールフーズマーケットはバカ食いして健康も気にするアメリカ人にとっては、これもまた一つの選択肢なのかもしれない。
 巨大スーパーと有機生産物スーパーは、アメリカの縮図でもある。

 わたしの組勘制度改革の提言。この主張は過去に別のブログでも掲載したが。
一つは、農地担保評価の見直し、すなわち生産性を収益還元法により再査定して農家個別のウミを洗い出す。
二、農畜産物年度末収入見合いの肥料農薬代金の融資を、せめて5年間収支計画での貸し出し実行に改めるなどだ。

 そして本当の個々の経営実態の把握に乗り出して、真の組合員のための農協という原点に立ち返るべきだ。それこそが政府がめざすJAの在り方なのだろう。

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